五千円札の肖像「新渡戸稲造(にとべ いなぞう)」の【功績】が、この記事ですぐわかる!
「新渡戸稲造」は、世界的な「大ベストセラー作家」。
代表作「武士道」は、世界中で読まれている名作で、アメリカ大統領もこれを愛読し、新渡戸に会いに行くほど。
新渡戸稲造は「日米の架け橋」になろうとしていた。
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この記事を短く言うと
- 「新渡戸稲造」とは、名著「武士道」を記した作家であり、「教育者」でもあった偉人
- 「新渡戸稲造」の最大の功績は、「武士道」という書籍を記し、「日本人の価値観」を世界に紹介したことだろう
- 武士道では、日本人の価値観、物事の判断基準が、詳しい例とともに記されている
新渡戸稲造とは何者なのか?何をした人?
新渡戸稲造(にとべ いなぞう)
2019年現在、「樋口一葉」が印刷されている「5000円札」ですが、その前に「5000円札」に印刷されていたのが、「新渡戸稲造」でした。
新渡戸稲造とは何者なのか?を、一言でいってしまうと、「新渡戸稲造」は「作家」「教育者(教師)」です。
そして、国際連盟で「事務次長」を務めていたこともありますので、「国連職員」であると言えるかもしれませんし、外交官とも言えるかもしれません。
しかし、「新渡戸稲造」最大の功績である「名著『武士道』を出版した」ことを考えると、「作家」という肩書が、もっともしっくりくるのかもしれません。
次は、「新渡戸稲造の功績」を確認してみたいと思います。
その功績を、短く解説
「新渡戸稲造」の功績を短くまとめますと、以下の通りです。
・著書「武士道」を出版。海外でベストセラーとなり、アメリカ大統領「セオドア・ルーズベルト」も愛読した。
・「札幌農学校(北海道大学)」「京都帝国大学(京都大学)」「東京帝国大学(東京大学)」などで教授を務めた
・国連事務次長を務め、世界平和に貢献。
・大東亜戦争の開戦危機を察知し、戦争回避に尽力した
何よりも「武士道」という本を世に送り出したのは、新渡戸稲造の最大の功績でしょう。
この「武士道」は、「日本語の書籍」ではなく、元々は
Bushido:The Soul of Japan
(武士道:ザ ソウル オブ ジャパン)
という、英語で記された書籍でした。1899年、アメリカ「フィラデルフィア」で刊行されたものなのです。
この本が「日本語」で出版されたのは、「英語版」が出版された16年後の「1915年」でした。
「武士道」は、全世界の人々に読まれ、アメリカ大統領である「セオドア・ルーズベルト」「ジョン・F・ケネディ」にも愛読されています。
「武士道」が出版された5年後の「1904年」、日本は大国「ロシア」との間で、「日露戦争」を開始。
開戦当初から、日本は「小村寿太郎」により、「アメリカ」を仲介者として「講和」することを模索していました。
その時、アメリカは日本に対して、かなり好意的な態度をとっているのです。その理由は大統領「セオドア・ルーズベルト」が「武士道」を愛読していたから・・・と言われています。
「武士道」とは、どんな本なのか?
「武士道」とは、どういう本なのでしょうか?
簡単に言ってしまうと、「日本人が大切にしている価値観、精神は、どういうものなのか」を、外国人向けに解説している本です。
「日本人のガイドブック」と言ってもいいかもしれません。
この本は、日本人が大切にしている「価値観」「道徳心」を、「勇気」「仁愛」「礼儀」「誠実」「名誉」「忠義」「切腹」「仇討ち」「日本刀」などの項目で、詳しい「例」をあげて解説しています。
その例は、外国人に向けてあるものらしく「シェイクスピア」や「旧約聖書」「新約聖書」、「孟子」やイスラム教の「ムハンマド」、などが利用されています。読めば読むほど、新渡戸の博識がよくわかる本です。
日本人は、一体何を大切にしているのか。
何を判断基準としているのか。
日本人が「価値ある行為」とみなしているものは何か。
武士道では、これらを外国人向けに解説しています。
「切腹」の解説を例にとってみましょう。
外国人からすると、日本人が「腹」を斬って自決することは「野蛮な行為」であると感じられるでしょう。
しかし、新渡戸は「そうではない」と、「武士道」のなかで解説しています。
「切腹は、ただの自殺ではなく、儀礼にのっとり、罪を償い、間違いを正し、不名誉をまぬがれ、自分の誠実さを命をもって証明する手段だった」
新渡戸は、「切腹は名誉」であると紹介しながらも、「死に値しない理由で、名誉を得るために死に急ぐ」ことも、同時に批判しています。
「死を恐れることは卑怯であるとされるが、死よりも生のほうが難しい場合、簡単に死を選ばないことが、武士たるものの道である」
そして、切腹するものの首を斬る「介錯人」についても、新渡戸は
「切腹する者と、介錯する者は、ただの『処刑されるもの』と「処刑するもの」の関係ではない。
言うなれば『切腹する者』は主役。『介錯する者』は脇役。
そして『介錯する者』は、紳士としての役割を受け持っているのだ」
と言って、介錯する者のことも「ただの処刑人ではない」と擁護しています。
書籍「武士道」では、このようにして、外国人向けに「武士の価値観とは何か」を通して明治維新後の「日本人とは何か」を解説しているのです。
出版からすでに100年が経過した「武士道」。
日本人が、忘れかけている「武士」たるものの魂を思い起こさせるための、価値ある名著でもあると思います。
武士としての教育を受け、同時に「国際感覚」も身につけていた新渡戸にしか記すことができない名著なのです。
「我、太平洋の橋とならん」
新渡戸が残した名言です。彼は「武士道」という奇跡の作品で、見事に日本とアメリカを繋いだのでした。
『新渡戸稲造』について「ひとこと」言いたい!
「武士道」の精神は、まだ生きている
「日本人が世界から尊敬されているのは、武士道のおかげ。
どうして日本人は、宗教に頼らずに、これほど道徳的に優れているかというと、武士道の精神があるから」
これは、政治評論家の「屋山太郎」先生のお言葉です。
今も、日本人の価値観の中に「武士道」という精神は生き続けているということです。
新渡戸は、この書籍を記した当時から、「武士道精神」が滅びるのではないか?という危機感を抱いていたようです。
しかし、同時に「武士道精神は滅びることはない」と、書籍「武士道」の最後で、力強く宣言しています。
「武士道という名前が滅びたとしても、散っては咲く『桜』のように、日本人の武士道精神は、必ずよみがえる」
2019年現在の日本は、周辺諸国へ「お詫び」やら「謝罪」やら「反省」やらを強要され、「自縛」的な憲法で自らの手足を縛り、誇りを失ったかのような「自虐的」で「弱気」な行動が目立っています。
それは、明治維新の後に建てられて、国を守るために命をささげた先祖・英霊が眠る「靖国神社」に、日本の首相たるものが参拝もできないほどです。
しかし、それを「良し」としない精神が、日本人の心の中で、徐々にうごめいていることも事実です。
「日本人は我慢強いが、誇りを傷つけられたら、命を投げうって戦う」
これは、先日お亡くなりになられたコラムニスト「勝谷誠彦」さんのお言葉です。
その精神が、まさによみがえりつつあるのでしょう。
作家「百田尚樹」さんの書籍「日本国紀」が、2019年1月現在、ベストセラーとなっています。
そのコンセプトは「私たち(日本人)は何者なのか」です。
この「日本国紀」も良いとは思うのですが、それ以前に「新渡戸稲造」の「武士道」こそが、「我々は何者なのか」を思い出すのに、最適な書であると思っています。
平成が終わる2019年。
もう一度「武士の魂」を思い起こすべき時なのではないでしょうか。
新渡戸稲造と、大河ドラマ「いだてん」
新渡戸稲造といえば、大河ドラマ「いだてん」に登場するスポーツクラブ「天狗倶楽部」と「野球」について大激論を展開したお方。
新渡戸は、東京朝日新聞で「野球害悪論」という批判を展開。
「野球は常に相手をだまそうペテンにかけよう、とする遊びである。
そのためアメリカ人にはできるが、日本人・英国人・ドイツ人には決してできない」
と主張したのです。
天狗倶楽部に所属していた作家「押川春浪(おしかわ しゅんろう)」は、これに猛反発。
「勝負である以上、相手を計略にかけようとしないスポーツなど、古今東西どこにもないではないか!」
と反論したのでした。
現在の野球の隆盛を見てみると、この対立は「押川」さんに軍配があがるのではないでしょうか。
新渡戸稲造の功績は、誰もが認めるところです。
しかし、この「野球害悪論」は、ちょっといただけません。
「我、太平洋の懸け橋とならん」
という名言を残し、日米をつなげようと、あらん限りの努力をした偉人「新渡戸稲造」。
そんな新渡戸にも、失敗があるということは、彼が我々と同じ人間であることを物語っており、少しホッとさせてくれます。
まとめ
本日の記事をまとめますと
- 新渡戸稲造とは、「武士道」を記した作家であり、「教育者」でもあった偉大な人物
- 新渡戸の名著「武士道」は、「日露戦争」を有利に進める一因となるほどでの代物であり、日本人の価値観を世界に紹介した本である
- 武士道精神は、今も日本人の中に滅びることなく生きている
以上となります。
本日は「レキシル」へお越し下さいまして誠にありがとうございました。
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ありがとうございました
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